ブログ10 ビジネスの機会

ドバイの展示会場での出来事。
隅から隅まで見て回り、少々歩き疲れてきた頃、会場の隅の方へ行き、人気の少ないブースの前を
のんびりムードで歩いていた。

ブースの奥からサウジアラビア人のオーナーさんが出て近づいてくる。
ん?熱心なサウジアラビアの方だなあと思い、目が合い会話が始まった。
が、とんでもない方向に話が行くことに。

「うちは、プラスティックバックや食品を載せるプラスティックコンテナーを作っているんだ。」
それを聞いて、今回の展示会のテーマとは少し離れた商材だなあと思い、
商品を眺める。う〜ん、商売になるマッチングポイントはどこだろう。。
多少疲れとぼんやり頭で考えていたので、相手からみると、不機嫌そうに見えたかもしれず、
話題は急に切り替わり、
「どこから来たのか?」    海外では当たり前の質問が。
「日本人か?」そう聞かれ、
「日本人だ」と答え、
お互いの国のニュースや知識の交換が始まるのかと思っていたら、
また話題は切り替わり、

「〇〇(お菓子ブランド)を知っているか?」
「ん~○○は聞いたことないけれど、△△なら知ってるよ」
「ちがうちがう 〇〇だ!」
「知らないなあ。。」

そして次の言葉に驚いた。

「○○にコンタクト取りたいので、○○のオーナーを探して教えて欲しい!
 僕は こんな事をしたいんだ。この○○に話をしてみたいんだ」

”ん?なんか、すごいワールドに 引き込まれているの?私。”
”え~、それ、この商品とどう関係するんでしょ?”とか、
”なんで 〇〇なの?”とか、
ぼやけた頭は覚醒し、質問は矢継ぎ早に浮かぶけれど、
とにかく それにも増して、矢継ぎ早に話してくるサウジアラビア人。

静かになるまで聞いていたら、
最後にもう一度、目を見開いて、
「〇〇を知らないのか?」
「探せるのか?」
という言葉のくくりを聞いて 私が話し返す番になった。

”いきなりそんな相談を受けてもなあ。”と思ったものの、
私が今聞かされて、依頼された?ことは、
① 探して
② 訳を話して
③マッチングさせるだけなので、
まあ、こういう機会は私の勉強にもなるかも知れないし、会社に損がでる話でもないので、お受けしようか。と
名刺交換。

お受けした 最大の理由としては、
この方の発するオーラと、強い視線に触れた時、
”あ~ 本気だな” と感じるところがあったから。

中近東の人たちは、意外に情緒的であり、そしてシャイで(女性の営業に対してだけかもしれない)
あった瞬間は長めの挨拶も多いので、本気かどうか つかみづらい場面も多いけど、
これまでに出会った熱心でストレートなお客様のその視線と、
このオーナーさんの視線には、 とても似ているものがあった。

もしかして 疲れてぼんやりしていた心身は、
回りくどい話術が溢れる中東にいて、
ストレートな話を受けやすい状態だったかもしれない 苦笑

日本に戻り、探し出すのは簡単で、連絡をして、
主旨を話して、できるのであれば、直接話をして欲しいとお伝えした。
まあ、考えれば 無責任。
そのお菓子を買って社内の数人に配って 感想を聞いたけれど、
ここまでのところ、いっさいビジネスのことを考えていなかった。
ボランティアでいいし、これも何かの縁の始まり 程度にしか思っていなかった。

日本側のオーナーさんと話すのは電話で。

「中東はねえ、、、これまで話はいくつかあるんですが、どうも進まないんですよ。
ドバイぐらいには出したいと思ったことはあるのですがね」
もともと海外展開をされていたので、早い始まりとなり、
自分の中東諸国との関わりや経歴をお伝えし、
中東がなぜ進みにくいのかということに対する自分の考えと、
”サウジアラビア人の本気”を伝えて、精一杯。

その後しばらくすると、二人は第3国で会う約束をしたようで、
その知らせをメールでサウジアラビア人の方から受け取ることに。
絡むつもりはここでもなかったので、ああそう、頑張ってね みたいな程度で ちら読み。

1つ伝えたのは、〇〇さんには申し訳ないが、一度日本に来て、他のメーカーさんの味も試食したらいい。
ということ。もし、彼が来日するのであれば、本格的にビジネスとしてお話を始めてもいいと思ったので。

そのうちに、二人は出会い、契約書の原案がサウジアラビア人より送ってきた。
厳しい原案を読みなたら、上司とも、”絡むなら 設備の出荷をお手伝いする程度だよね”
ということで終わる。

そして何ヶ月か後に、契約したこと、店をつくる場所を知らせるメールが届く。
初対面の私を信用して託してくれたサウジアラビア人と、
無責任な説明を信用してサウジアラビア人と話してくれた〇〇のオーナーさん。
この二人が合意して 中東諸国に店を出すことになったなんて、
これほど、信用してもらえて嬉しいことはない。
少し前まで顔も知らず、何者かすらわからぬ3人が、話して、繋がって、店が生まれた。

一号店が開店までの工事中のときに 私は その店を見に行き、
彼と待ち合わせをし、店舗の向かいのカフェで話を。
店を出すのに大変な資金がかかっていたけれど、彼の目は キラキラとひかり、
「やるしかないんだよ」と。

あら〜、こんな ひたむきなサウジアラビア人と出会えて嬉しいと心から思ったのを覚えている。
その後も 時折 彼からは こんなことがしたいので という相談がくるけれど、なかなか 簡単には行かない。

けれどビジネスから付き合いが始まったわけではないため、とても気軽。
そして 脱サラした今も、新しいビジネス案を言い合える関係は宝物だと、少なくとも私は思っている。

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